相続と保証債務

 

 保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例がありますが、これは、あくまで「保証債務を履行」であって、自分自身の債務返済には適用されません。相続時にはご注意を・・・という事例です。
 長男の債務に対して、父が保証人になっていましたが、長男が死亡したため、父所有の土地を売却してその債務を返済しました。相続放棄はしていませんが所得税法第64条2項(保証債務の履行に伴う求償権の行使ができない場合の譲渡所得の課税の特例)の適用は可能ですか?また、相続放棄した場合はどうですか?
◎民法第520条(混同)

 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
●民法と税務の問題点

 下記判決のように、相続により「混同」となり所得税法第64条2項特例の適用ができなくなるが、相続放棄をすれば同特例は適用可能となります。

参考:TAINSより・・平成7年9月5日東京高裁
(平成5年11月5日静岡地裁/平成9年12月18日最高裁)

東京高裁平成5年(行コ)第199号所得税更正処分等取消請求控訴事件(棄却)(控訴人上告)                   【税務訴訟資料第213号563頁】
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         判  示  事  項
(8) 所得税法64条2項(保証債務の履行に伴う求償権の行使ができない場合の譲渡所得の課税の特例)の適用につき、弁済のほか、相殺、混同など弁済と同視すべき事由によつて、保証債務の履行に係る求償権が消滅したときには、求償権を行使することができない場合に当たらないとされた事例(原審判決引用)
(9) 保証人が主たる債務を相続した場合につき、保証債務の履行に係る求償権が混同により消滅したとして、所得税法64条2項(保証債務の履行に伴う譲渡所得の課税の特例)の適用がないとされた事例(原審判決引用)

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