保証債務を履行するために土地建物などを売った場合、その所得がなかったものとする特例があります。
確かに、他人の債務を支払うために不動産を売ったのに、税金を取られたのでは納得がいかないですよね。
所法第64条第2項
保証債務を履行するため資産(。。。)の譲渡(。。。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(。。。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
この特例を受けるための主な要件は2つ。
・ 保証債務等の履行のために土地建物などを売ったこと
・ 履行債務の全部または一部が本来の債務者から回収できなくなったこと
まず、保証債務等とはどういうものを言うんでしょうか。
主なものは、
・ 保証人、連帯保証人
・ 連帯債務
・ 身元保証人
・ 他人の債務を担保するための抵当権
等が挙げられます。
そして、注意点としては、「保証債務等を行った時点で、本来の債務者に弁済能力があること」です。
つまり、もともと支払えないことがわかっているのに、保証債務をした場合には特例が使えないということです。
次に、所得がなかったとみなされる金額とは、下記のうち一番低い金額のことです。
・ 肩代りをした債務のうち、回収できなくなった金額
・ 保証債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額
・ 売った土地建物などの譲渡益の額
おそらく、争点としては
・ 本来の債務者から回収が可能かどうか
・ 債務保証等をした時点で本来の債務者の支払能力があったかどうか
だと思いますので、これらをしっかりと固めてから特例を使うといいと思います。