上場会社だと、けっこう株式の売買をするんですが、中小企業ってあまり売買をしません。
たまたま今日見ていた決算書で、持株会で上場株式を取得。
所得税額控除は当然やるんですが、ふと遠い記憶がよみがえり、期中に増減があった場合、源泉所得税を全額控除することはできなかったような。。。
というわけで、少し復習。
そもそも所得税額控除とは?
法人が利子や配当を受け取る際、源泉所得税が引かれて支払われます。
もちろん、所得税は個人にかかる税金なので、法人にかけてしまうと二重課税になってしまう。
ということで、法人税から控除できるという制度。
その方法としては、まず、別表4の仮計の下で「法人税額控除所得税額」として一旦加算。
続いて、別表1(1)に「控除所得税」として税額を控除。
こんな感じです。
本題。
期中で増減があった場合、どうなるのか。
対象となるのは公社債の利子や配当等であり、預金の利子等は全額控除できます(法令140の2)。
そりゃそうですよね。
預金なんて期中で常に増減してるんだから、期間按分なんてやってたらたまりません。
方法としては原則法と簡便法の2つあり、有利な方を選択可能です。
①原則法
株式銘柄ごと、同一銘柄でも保有期間の違う株式ごとに下記のように計算します。
所得税額控除額=源泉所得税 × A × B
A・・・分母のうち、同一期間保有していた株式数 ÷ 配当の計算期間末に保有していた株式数
B・・・分母のうち保有期間 ÷ 配当の計算期間(小数点第3位未満切上)
文章で書くとわかりづらいですね。
例を挙げて考えてみると、
配当の計算期間・・・H23/1/1~H23/12/31
源泉所得税額・・・10,000円
計算期間末(H23/12/31)保有株式・・・1,000株(うち500株はH23/10/1に取得)
H23/1/1より保有していた500株に係るもの
10,000 × (500株 ÷ 1,000株) × (12ケ月 ÷ 12ケ月)=5,000円
H23/10/1に取得した500株に係るもの
10,000 × (500株 ÷ 1,000株) × (3ケ月 ÷ 12ケ月)=1,250円
合計で6,250円が所得税額控除できるということですね。
例でもわかりづらい。。。
気を付けなければいけないのは、保有株式数や保有期間は、会社の事業年度ではなく、保有している株式会社の配当計算期間を基準にして考えるということです。
この計算を行うには、配当計算期間を知る必要がありますね。
②簡便法
簡便法は、原則法と違って同一銘柄ごとに計算すればOKです。
計算方式は下記。
所得税額控除額=源泉所得税 × {(A + B) ÷ 2} ÷ B
A・・・配当計算期間の期首保有株式数
B・・・配当計算期間の期末保有株式数
こちらも相変わらずわかりづらいので、上記と同じ例で考えると。
H23/1/1(配当計算期間の期首)に保有していた株式は500株
H23/12/31(配当計算期間の期末)に保有していた株式は1,000株
よって、控除できる源泉所得税額は、
10,000円 × {(500株+1,000株)÷2}÷1,000株=7,500円
この例だと、簡便法の方が有利ってことですね。
なので、簡便法を選択するわけですが、その選択も注意!
原則法・簡便法は、銘柄ごとに選択できず、その種類(公社債・株式出資・受益権)ごとに選択しなければいけません。
つまり、A株は原則法、B株は簡便法といった選択はできません。
株式について原則法を用いる場合は、すべての株式について原則法を適用しなければなりません。
ということで、意外と細かくてわかりにくくなってしまいましたが、こんな感じでしょうか。
自分でも結構忘れていることが多くてびっくりしました。
原則法はほとんど実用性がないような気がします。