年末調整の中でも大きなウェイトを占めると思われるのが、住宅ローン控除です。
住宅ローン控除で気を付けなければいけないのが、住宅ローンを借り換えた時です。
まず、住宅ローンを借り換えた場合、どんなローンでも住宅ローン控除が受けられるわけではあません。
借り換えたローンにつき、下記の要件が必要となります。
(1) 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
(2) 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
こちらは簡単に充足できるのではないかと思います。
次に気を付けなければいけないのが、住宅ローン控除の金額の計算です。
借り換えを行った場合、住宅ローン等の年末残高については、下記のように計算します。
(1) A≧Bの場合
対象額=C
(2) A<Bの場合
対象額=C×A/B
A=借換え直前における当初の住宅ローン等の残高
B=借換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額
C=借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高
例えば、2,000万円の残高があった住宅ローンを、1,000万円のローンに借り換え、年末の残高が900万円だった場合、
上記の「(1)A≧B」に該当しますので、900万円を年末残高として住宅ローン控除の計算を行います。
また、2,000万円の残高があった住宅ローンを、4,000万円のローンに借り換え、年末の残高が3,900万円であった場合、
上記の「(2)A<B」に該当しますので、3,900万円を年末残高とすることができず、下記の調整が必要となります。(考えれば当然かと思いますが)
3,900万円×2,000万円÷4,000万円=1,950万円
この調整計算は毎年行うべきものですので、年末調整の対象となる従業員の借り換え状況を適切に管理し、毎年正確に計算することが必要となりますので、注意が必要です。
また、借り換えを行った場合には、適切に報告するような体制を整えることも重要となります。