先日、貸倒引当金戻入益は、営業外収益に計上されることとなりました、という記事を書きました。
しかし、11月15日、日本公認会計士協会他より、「中小企業の会計に関する指針(平成24年版)」(公開草案)が公表されました。
そこでは、貸倒引当金戻入益は特別利益にせよ、となっています。
もともと、平成23年版の中小企業会計指針では特別利益となっていて、平成24年版では改正されるだろうと思っていたので、少し驚きました。
そもそも、貸倒引当金戻入益が特別利益だったのは、貸倒引当金戻入益は過年度の修正という意味合いが強かったので、特別利益となっていたところ、過年度遡及会計基準の適用により、過年度の修正とは考えないこととなり、特別勘定から外れたのだと認識しています。
確かに、中小企業については過年度遡及会計基準の適用は強制ではないので、中小企業では上記のような考え方はしない、との理屈はあるのかもしれませんが、引当金戻入益の性質がどのようなものであるか、というのは会社の規模によって変わるものではないような気がします。
しかも、中小企業会計指針の公開草案では、貸倒引当金戻入益を特別利益に計上する根拠として、「金融商品会計に関する実務指針125項」を挙げていますが、そこには「原則として営業外収益」との記載があります。
中小企業は、「例外」ということなのでしょうか。
さらに、ある簿記学校では、貸倒引当金戻入益は特別利益から営業外収益に変わりました、と教えているようです。
そこで学んだ方が、中小企業の経理をしたら、どうなるのでしょう。
もちろん、大企業と中小企業で同じ会計基準を使うことには反対ですが、勘定科目の表示区分という会計の根幹を成す部分については、統一すべきではないかと思います。