国税庁より、「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」が発表されています。
調査が行われたのが11,935件で、そのうち非違件数は9,761件だったそうです。
つまり、調査が行われたもののうち、81.8%(約5件に4件)が何かしらの間違い等があったということです。
申告漏れ財産の内訳は、現預金等が最も多かったということです。
(出典:国税庁HP)
土地などの不動産は、登記がされているため、漏れることはあまり多くありません。
誤るとしたら、先代名義の土地が正しく登記されていなかったとか、土地の評価が誤っていた、ということだと思います。
やはり、なんといっても現預金。
土地は、所有権を移すのにそれなりに手間がかかりますが、現預金はすぐに動かすこともできます。
特に、現金なんて名前が書いてあるわけではないので、他の人に渡してしまえば、行方が分からなくなってしまうのです。
…と思っている方が多いので、税務署が目を光らせているわけです。
実際の相続税の案件でも、現預金の動きが多い方が本当にたくさんいらっしゃいます。
パターンは大きく分けて二つ
・名義預金にするケース
・現金でおろしてしまうケース
どこかの本で読んだのか、近所の方に聞いたのか、どこかのセミナーで習ったのか、よくわかりませんが、このような「節税対策」が散見されます。
・なくなる直前に全額引き出されている
・未成年のお孫さん名義の預金に多額の預金がある
誰が見ても不自然です。
このような「節税対策」で節税になるなら、相続税を払う人がほとんどいなくなってしまいます。
また、税務調査で指摘されてしまうと、本来なら払わなくていいはずの罰金まで払う羽目になり、何のための節税対策だったのかわからなくなってしまいます。
税金以外でも、もし、遺産分割に際して争いがあった場合はもっと複雑になってきます。
現金は誰がおろして誰が持ってるのか。
どの預金が名義預金なのか。
それを調べるのに、時間も手間も弁護士費用もかかってしまいます。
また、そのような「対策」をされる方は総じて専門家との付き合いがなく、ご自身で行われている方が多いような気がします。
専門家が、「相続税対策として、親族名義にしてしまいましょう」なんて言うはずがありませんから。
そんなリスクの大きい「節税対策」をするのではなく、税務調査でも問題にならない、法令に沿った節税対策をしていくことが大切だと思います。